プラケニル眼科外来
プラケニル眼科外来について
プラケニル(一般名:ヒドロキシクロロキン塩酸塩)は、2015年より日本で全身性エリテマトーデス(SLE)や、皮膚エリテマトーデス(CLE)、リウマチ、他の膠原病の皮膚症状や関節症状などに使用されるお薬です。もともとはマラリアに対する治療薬として使われていました。
プラケニルは非常に副作用が少ないお薬とされています。最もよく見られる副作用として、下痢や吐き気がありますが、内服しているうちに改善することも多いです。


重篤な副作用として、プラケニルの服用を続けることで視力が落ちたり、症状が進行すると目が見えなくなってしまう可能性が報告されています。これをヒドロキシクロロキン網膜症といいます。
ヒドロキシクロロキン網膜症は、プラケニル高用量を長期間内服し続けている方、60歳以上の方、強い腎障害をお持ちの方に起こりやすいと言われています。
以前マラリアや関節炎に使われていた頃よりも少ない用量で使用されているため、副作用による視機能障害の可能性は非常に低いとされていますが、プラケニルを服用される場合、定期的な眼科検診は大変重要です。
プラケニルの副作用――ヒドロキシクロロキン網膜症とは?
人がものを見るとき、まず網膜にその光景が投影されます。網膜から脳に情報が送られ、ものの形や色などが認識できるようになります。網膜のなかでも視界の中心に対応する部分を黄斑(中心窩)といい、視力に直結する部分です。ヒドロキシクロロキン網膜症では、この黄斑部の網膜が薄くなり、視機能障害が起こります。具体的な症状は以下です。
- 視力が低下する
- 視野(見える部分)が狭くなる、一部が見えなくなる
- 色の判別がつきにくくなる(色覚異常)

プラケニル眼科外来受診のタイミングについて
プラケニル眼科外来では、膠原病やリウマチの治療のために患者様が現在通われている内科・皮膚科の先生と連携して、定期的に眼の検査をします。
まず、プラケニルの服用を開始する前に検査を行います。この検査を行うことで、プラケニルの服用開始前と開始後の眼の状態が比較できます。
その後、半年から1年に1度は検査を受けていただきます。ヒドロキシクロロキン網膜症のリスクが通常よりも高いとされる方にはより頻度の高い検査をお願いしています。

ヒドロキシクロロキン網膜症のリスクが高いとされる方の例
- 1日に飲むプラケニルが一定量を超えた方
- 肝臓や腎臓に持病がある方
- プラケニル服用以前から眼に疾患がある方
- プラケニル服用後、検査にて異常が発見された方
- SLE網膜症の方
- ご高齢の方
当院で行うヒドロキシクロロキン網膜症の検査
- 視力検査
- 眼圧検査
- 細隙灯顕微鏡検査
- 眼底検査・眼底写真(要散瞳)
- ハンフリー視野検査(10-2がメインとなりますが、30-2も行います※)
- OCT(光干渉断層計)
- 色覚検査

※欧米ではHF10−2のみで良いとされてきましたが、日本人では中心からやや離れた部分に異常が出るという報告があり、HF30-2も行います。
まとめ
早期にプラケニル服用による視力の低下や色覚の異常が発見できた場合、服用を中止することで改善されることが知られています。
自分でも気づかないうちに視力が悪くなっていた、ということを防ぐためにも、プラケニル服用中の定期的な眼科検診は非常に重要です。
